日本の住宅に被害を出している「シロアリ」には3種類います。
- 「イエシロアリ」
- 「アメリカカンザイシロアリ」
- 「ヤマトシロアリ(黒いシロアリ)」
この記事の中では、3種類の中で黒い羽アリとしても知られる「ヤマトシロアリ(ミゾガシラシロアリ科羽アリ)」に注目していきます。
非常に紛らわしいアリの中に、「クロアリ」がいるので、黒いシロアリ(ヤマトシロアリ)との違いも比較していきます。
ヤマトシロアリの生態や特徴・クロアリとの違い
ヤマトシロアリの生態や特徴を知ることで、シロアリ対策する事ができるので、最初に「ヤマトシロアリ」の特徴と生態について見てみましょう。ヤマトシロアリの特徴や生態を理解できると「クロアリ」との違いもすぐに分かります。
ヤマトシロアリは、日本に古来から生息している深刻な被害を建物に及ぼす白蟻の一種です。
ヤマトシロアリの生息域(分布)
上記の地図で確認できるように、ヤマトシロアリの分布は「日本全国」です。どこに行ってもヤマトシロアリの被害に遭っている建物があります。
一部の北海道の東側と北部を除いて、どこでも生息できるほど気候の変化にも強い白蟻です。寒さにも強いので「東北地方(青森・岩手・宮城・新潟)」などの地域でも生息でき、暑い沖縄でももちろん問題ありません。
生息している場所
シロアリと言っても、全てのシロアリが同じような場所を好むわけではなく、ヤマトシロアリにも好んで生息(活動)する場所があります。
主に「湿気のある場所」を好むため、次のような場所でよく発見されます。
- 床下(湿気がこもる場所)
- 天井裏(湿気のある場合のみ)
- 通気性の悪い場所
- 日光の入りにくい場所
- 切株や枕木などの木材
- 土の中
ヤマトシロアリの活動場所は、基本的に地面から高さ1m以下と言われています。
その理由は、ヤマトシロアリが湿った木材を活動場所として選ぶからです。地面から1mほどの高さは、地面の水分の影響で湿っているため、ヤマトシロアリを発見しやすくなります。
ではなぜ天井裏が含まれているかというと、建物の中には天井裏に湿気がこもる場合があり、結果としてヤマトシロアリが好む環境ができあがります。
こうした特別な状況以外では、ヤマトシロアリは基本的に地面から1mの場所で活動します。
活動時期や繁殖時期
ヤマトシロアリの活動時期は「GW」の時期と覚えておくと良いでしょう。
基本的には、「4月中旬~5月下旬」で、雨が降った次の日にヤマトシロアリの羽アリが飛び回ることがよくあります。ただし、4月中旬から5月下旬のみが活動期間かというと、基本的には1年中活動はしています。活動に適している気温は「12度から28度」なので、やはり1年中活動できる生態です。
あくまで4月中旬から5月下旬までが活発な活動が観察され、さらに繁殖期にも重なるので、4月から5月は要注意時期という事になります。
ヤマトシロアリの女王アリは、1日に数十個から数百個の卵を生むため、2ヶ月の間に数千匹の新しいシロアリが誕生してしまいます。繁殖力が非常に強いため、一旦ヤマトシロアリの巣が完成してしまうと、イエシロアリほどではないものの繁殖力が強いため、あっという間に個体数が増えてしまいます。
fa-check-squareヤマトシロアリを駆除するなら、4月に入る前に始めるのがベストです
ヤマトシロアリの見た目の特徴・クロアリとの違い
アリを室内で見つけた時、シロアリではないかと心配になるかもしれません。
建物に被害をもたらさない「羽アリ」もおり「クロアリ」という名前で知られています。「ヤマトシロアリの羽アリ」と「クロアリの羽アリ」を見分けるようにしましょう。
ちなみに、ヤマトシロアリの中で「羽アリ」になるのは全体の2%のみであり、残りの3%が兵蟻、95%は働きアリとなります。
- 触覚の違い
- 羽の違い
- 胴体の違い
この3つのポイントに注目すると、「クロアリ」と「ヤマトシロアリ」の違いを判別できます。
ヤマトシロアリ | クロアリ | |
見分け方 | ||
触覚の違い | シロアリの触覚の特徴は、数珠状で真っ直ぐ伸びています。 | 触覚に節があるため、通常は「く」の字に曲がっている |
羽の形の違い | 羽の大きさが前後で同じ | 前後の羽の大きさを比較すると後ろの方がひと回り小さい |
胴体の違い | 胴体は寸胴のようになっており、くびれが少ない点はクロアリと大きく異なる | 胴体にはくびれが存在しており、一般的なアリと同じ体型である |
この3つの特徴は、羽アリだけでなく、「兵隊アリ」「働きアリ」についても同じであるため、「胴体のくびれの有無」「触覚が数珠状かどうか」を確認すれば、「ヤマトシロアリ」と「建物に無害なクロアリ」の違いをすぐに把握できます。
この画像を見るかぎり、ヤマトシロアリの「羽蟻」「職アリ」「兵アリ」の外見的な違いは大きくないので、「クロアリ」との差は歴然としています。
ヤマトシロアリによる被害とは
ヤマトシロアリの特徴でも説明したように、被害箇所にヤマトシロアリの巣がある事が多くあります。その場所には、数万匹のヤマトシロアリが生息する事になります。
つまり被害場所に食べ物がなくなった段階でヤマトシロアリは、巣を移動させることが多いようです。つまり被害場所の拡大=巣の移動と考えることができるので、被害は確実に広がっていくことになります。
ヤマトシロアリは、湿気のある場所を好む特徴や傾向があるため、基本的には地面に近い「建物の基礎部分(地面から1m以内)」が被害に遭うことが増えます。
以下の写真が床下がヤマトシロアリの被害に遭った状況です。
基礎部分の木材が主な被害箇所になりますが、ヤマトシロアリはコンクリートを侵食した事例もあります。つまり鉄筋コンクリートだから大丈夫と考えるのではなく、コンクリートの隙間にヤマトシロアリが巣を作っていないか調査する事も大切です。
しかし床下だけが被害に遭うわけではありません。仮に屋根裏が「通気性が悪い」「湿気が溜まっている」という状況であれば、ヤマトシロアリは湿った木材を餌にする事ができます。つまり屋根裏であってもヤマトシロアリの被害に遭う可能性も否定はできないわけです。
ヤマトシロアリの被害が屋根裏で起きた時の写真です。
天井裏がヤマトシロアリの被害に遭うと、屋根の基礎部分が被害を受ける可能性も否定できません。屋根を支える木材に被害が出ると、屋根の崩壊まで被害が拡がる危険性もあるので、早急に対処するようにしてください。
洗面所や風呂場の上に屋根裏がある場合、湿気が好きなヤマトシロアリの被害が起きている可能性もあります。湿気が好きなヤマトシロアリは、床下だけにいるという先入観は捨てるようにしましょう。
巣を取り除くなどの駆除方法や費用
ヤマトシロアリの駆除の費用や料金はどうなっているのでしょうか?
シロアリ駆除費用については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
→こちら
ここでは簡単にヤマトシロアリ駆除料金について解説します。
シロアリ駆除費用は、「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」「アメリカカンザイシロアリ」の種類に関係なく、料金は同じになります。
ヤマトシロアリの方が料金が高くなるという事はありません。
シロアリ予防料金:2,000円/㎡
引用:一般財団法人経済調査会
これは2018年「一般財団法人経済調査会」による、シロアリ業者の全国平均です。
このサイトでご紹介している「シロアリ110番」は、全国平均よりも安い「シロアリ駆除1,200円/㎡」なので、非常にお得です。なぜこれほど安くできるのかという理由は、こちらでの記事で詳しく解説しています。
→こちら
ヤマトシロアリはよく見る黒い羽アリ!画像で確認
シロアリを発見できる理由の1つは、羽アリが飛んでいるのを見つけた時です。
羽アリを見つけると「シロアリ」だと勘違いしてしまう方もおられるようですが、「羽アリ=シロアリ」というわけではないのでご注意ください。
先ほどは、見た目の違いなどを見ましたが、今回は実際の写真を見て確認してみましょう!
ヤマトシロアリの写真
まずはヤマトシロアリの羽アリを確認してみましょう。
これがヤマトシロアリの羽アリの画像です。
続いて「クロアリの羽アリ」を見てみましょう。これはシロアリではないので、木材を食い荒らすことはなく建物に害はありません。
クロアリ羽アリの写真
羽アリを見つけたからといって、すぐ「シロアリ」が出たと心配する必要はありません。
とはいえ、自分では判断できないという方もおられるかもしれません。特に女性であればアリを捕まえて確認するのは難しいですよね。
その場合は、プロのシロアリ駆除業者の無料現地調査を依頼するようにしましょう。
プロの業者が自宅に来て、床下から天井裏(必要であれば)までチェックし、シロアリの有無を確認してくれます。調査は無料で行うと明言しているので安心してご利用ください。
「不安を感じたらすぐに無料調査の依頼」がシロアリ駆除の重要なポイントになります。
羽のないタイプもいるのか?
「ヤマトシロアリ=羽アリ」と思われる方も多いようですが、実際にはそうではありません。
ヤマトシロアリのコロニーは、階級に分かれており、それぞれに役割があります。
ヤマトシロアリのコロニー内の割合
- ヤマトシロアリの女王アリ・王アリ
- ニンフ(将来の羽アリ)2%
- 兵アリ:3~4%
- 職アリ(働きアリ):95%
上記のようにヤマトシロアリはコロニーを形成します。
仮にコロニーが10万匹のヤマトシロアリで形成されているのであれば、以下のようになります。
各ヤマトシロアリの数
- ヤマトシロアリの女王アリ・王アリ
- ニンフ(将来の羽アリ)2,000匹(全体の2%)
- 兵アリ:3,000匹~4,000匹(全体の3~4%)
- 職アリ(働きアリ):95,000匹(全体の95%)
つまり発見できた羽アリの他に、98,000匹のヤマトシロアリが見えないところにいるという計算になります(10万匹のコロニーの場合)
そして厄介なのは、建物を食い荒らし被害をもたらすアリは、羽蟻ではなく「職アリ(働きアリ)」です。コロニーの95%に当たるアリが見えないところで確実で建物に被害を与えているという事になります。
ですから10万匹のコロニーであれば、羽のないヤマトシロアリは「95,000匹」もいるという事になります。
イエシロアリとヤマトシロアリとの違い
イエシロアリの詳細はこちらで確認してください。
→こちら
簡単に「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」の違いについて解説します。
ヤマトシロアリ | イエシロアリ | |
巣の場所 | 被害箇所 | 被害箇所と別 |
巣の移動 | あり | 基本なし |
活動場所 | 地上から1m以内 | 建物中 |
食痕 | 汚い | 乾燥して綺麗 |
被害拡大スピード | 並み | 非常に早い |
コロニー内の数 | 3万匹 | 100万匹 |
被害範囲 | 基本地上から1m | 家全体 |
ヤマトシロアリ(ミゾガシラシロアリ科羽アリ)のまとめ
この記事では、主にヤマトシロアリ(ミゾガシラシロアリ科羽アリ)の特徴・生態や被害の種類について解説してきました。
もしマイホームで「ヤマトシロアリ」を発見したのであれば、すぐに駆除を検討するようにしましょう。1匹のヤマトシロアリを発見したら3万匹は生息していると言われています。
被害の拡大を防ぐ唯一の方法は、少しでも早く駆除を開始する事です。
時間の経過と共に「ヤマトシロアリ」による被害は拡大してしまいます。本当にシロアリかどうか判断できない場合でも、「プロのシロアリ駆除業社」に調査を依頼するのも良い方法です。
シロアリ調査依頼=有料と思われる方も多いですが、プロの業社による現地調査は無料で実施しています。公式サイトで明言している業者も多いためチェックしてみましょう。
全国でシロアリ駆除を行なっている「シロアリ110番」も、無料現地調査を実施していると明言しているので、シロアリの生息をプロに確認してもらいましょう。